現行民法では配偶者は相続において一番優遇されております。しかし過去の民法などと照らし合わせると必ずしもどの時代もそうだったわけではないようです。今回は配偶者の相続権について解説していきます。
配偶者の相続権
配偶者の相続権について解説します。まず配偶者が被相続人の相続人であるためには、被相続人の死亡の瞬間に配偶者でなければいけません。
夫婦関係は結婚により始まり離婚もしくはどちらかの死亡で解消します。相続においては、同時存在の原則と継続の原則というものがあり、配偶者の相続についても同じです。
そのため被相続人の死亡前に離婚していた場合は配偶者でないので相続権はございません。また被相続人の死亡の瞬間に配偶者が生きていないければ相続人になりません。
また、民法上の婚姻は婚姻届を出すことのみ成立するので内縁の場合などは、仮に同居していたとしても配偶者とは認められません。(民法739条)
配偶者相続人と血族相続人を現行民法では別系列、別種類として捉えております。これにより血族相続人が何人いても配偶者の相続分は変わりません。
旧民法での配偶者の相続権
一方S37年の民法改正前では「相続放棄者の相続分は他の相続人の相続分に応じてこれに帰属する」とされております。そのため、1.共同血族相続人のみに帰属するのか?2.配偶者にも帰属するのか?という問題がございました。
1に関しては法文に忠実な解釈であり登記先例も同じ立場をとっております。2についてはいわいる株分け理論で相続財産は血族相続人と配偶者のグループに分かれているため1つのグループに属する相続人が全部存在しなくなる、もしくは放棄するまで放棄者の相続分はそのグループに流れ込むことはありません。
しかしS37年以降は、相続放棄者は初めから相続人とならなかったものとするという文言が追加されたため放棄者の相続分をどうするべきか?という問題は無くなりました。
配偶者と代襲相続
代襲相続は被相続人が亡くなる前に相続人が死亡してしまい、その死亡したものに変わって相続をすることです。
現行民法において配偶者が代襲相続できる規定はありません。すなわち親の相続を本来すべきである子が亡くなっており、その子の子は代襲相続者となりますが、その子の配偶者は代襲相続権はありません。
配偶者の相続権の歴史的な移り変わり
旧民法下の相続には戸主の地位を承継する家督相続と、戸主以外の人が死亡した場合に起きる遺産相続の2種類でした。配偶者は家督相続人とはならず遺産相続において直系卑属に次いで相続人となるのみでした。現在と比べるとだいぶ冷遇されております。
第二次世界大戦後、新しい憲法が施行され、その際から配偶者に相続権が認められるようになりました。家督制度は現行憲法の男女平等精神などに反するため廃止され、憲法に基づいた民法に変更されました。
改正当初は、配偶者は子と共に相続人となる場合は1/3とされておりましたが、その後の法改正により1/2となりました。