遺言を執行する上で生じる費用があります。民法の1021条には遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とすると記載されています。
遺言の執行に関する費用とはこれも民法で詳しく定められており、遺言書の検認手続きに要した費用、財産目録の作成費用、相続財産の管理費用(手数料や固定資産材など)遺言執行者の報酬、家庭裁判所が選任した遺言執行者の職務代行者に対する報酬、その他遺言を執行に関連する訴訟費用です。
相続財産を守るために訴訟が必要な場合は、この費用も遺言の執行に関する費用としてカウントされます。
不動産が相続財産に含まれる場合
不動産が相続財産に含まれる場合、執行するにあたって土地の測量が必要になる場合があります。これは当然遺言執行費用に含まれます。
なお登記手続きにおいて登録免許税が必要となりますが、これに関しては、相続させる遺言がなされた場合と遺贈がなされた場合で異なります。相続させる遺言での承継の場合は遺言執行者は関与の余地がないため執行費用に入りません。一方で遺贈の場合は遺言執行者と受遺者で共同で手続きを行うため執行費用に含まれます。
相続財産の負担とするの意味とは?
通常、遺言執行者が遺言執行を行う場合に生じる費用を賄う場合は、相続人や受遺者と話し合いの上、費用が発生するたびに相続財産から賄うか、相続人等から費用を預かり後ほど精算するかとなります。
上記のようなケースは問題とならないのですが、この話し合いが行われないまま、遺言執行者が立替を行った場合どうなるのでしょうか?
民法1021条に従えば遺言執行者は遺言執行にあたり発生する費用を相続財産から控除できることになります。遺言執行者は遺言執行にあたってかかった費用がある場合、相続人に引き渡すべき相続財産を一旦置いておき、執行に必要であった費用を精算することができると考えられます。
しかしながらこのような解釈はあまり一般的ではありません。遺言執行者は受任者による費用償還請求について定めた民法650条によってこれを確保するにとどまります。
遺言執行者が上記の償還をする場合、各相続人に対していくら請求できるかについては過去の判例があります。
建て替えた費用を全相続財産のうち、当該相続人が取得する相続財産の割合に比例した金額でかつ当該相続人が取得した相続財産の額を超えない部分に限るというものです。
なお遺言の執行に要する費用によって遺留分を侵害することはできません。仮に費用が遺留分に食い込むことがあれば、それは受遺者の負担となります。