莫大な遺産がある場合、全てを使いきれない、もしくは少しでも社会の役に立てばという気持ちから一定の金額を寄付することを考えている方もいらっしゃいます。特定の公益法人などに寄付をした場合、相続税が免除される場合があります。今回は相続財産を公益法人等に寄付した場合について解説いたします。
相続財産を公益法人に寄付する場合
相続や遺贈によって取得した財産を公益法人に寄付する場合、その寄付した金額は全額控除(税金の免除)が受けられるというものです。例えば、相続財産が5億円あったとして、1億円を寄付した場合、相続税が課税されるのは4億円ということになります。(正確には配偶者控除や障害者控除、基礎控除などにより変動します。)社会貢献を目的として寄付する方もいらっしゃいますし、不要な美術品や車などを処分し、それを寄付するというケースもございます。
特例を受けるための要件
単に寄付するだけでは、お金の横流しの可能性もあるため、寄付できる団体や条件などは定められています。
1 国、地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附した場合の特例
この特例の適用を受けるには、次の要件すべてに当てはまることが必要です。
- (1) 寄附した財産は、相続や遺贈によって取得した財産であること。
相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます。- (2) その取得した財産を相続税の申告書の提出期限までに寄附すること。
- (3) 寄附した先が国、地方公共団体、教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる公益を目的とする事業を行う特定の法人(以下「特定の公益法人」といいます。)であること。
(注)特定の公益法人の範囲は独立行政法人や社会福祉法人などに限定されており、寄附の時点で既に設立されているものでなければなりません。
詳細は国税庁のHPに記載されております。詳しくはこちら
2 特定の公益信託の信託財産とするために支出をした場合の特例
この特例の適用を受けるためには、次の要件すべてに当てはまることが必要です。
- (1) 支出した金銭は相続や遺贈で取得したものであること。
相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます。 - (2) その金銭を相続税の申告書の提出期限までに支出すること。
- (3) その受託者が信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により同法第1条第1項に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含みます。)であり、その公益信託が、教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められるなど一定のものであること。
3 認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)に寄附した場合の特例
この特例の適用を受けるためには、次の要件すべてに当てはまることが必要です。
- (1) 寄附した財産は、相続や遺贈で取得したものであること。
相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます。 - (2) 取得した財産を相続税の申告書の提出期限までに寄附すること。
- (3) その認定NPO法人が行う特定非営利活動促進法第2条第1項に規定する特定非営利活動に係る事業に関連する寄附をすること。
- ※ 認定NPO法人とは、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人のうち、一定の基準を満たすものとして所轄庁(都道府県知事又は指定都市の長)の認定を受けたものをいいます。
寄付する団体により、多少の条件が異なります。またこれらの団体に寄付する場合でも寄付した団体が寄付した日から2年以内に寄付の目的で使用していない場合や、寄付した団体から特別の受益(お金の横流しやマネーロンダリング)などがある場合は当然この特例は受けられません。特例を受ける場合は必ず相続税の申告書に明記することと寄付した際の金額の受領がわかる資料が必要です。実際の税務上の手続きは税理士や税務署の担当者から指示を仰いで進めるのが賢明です。