遺言執行者は遺言の内容が全て実現され、遺言執行が完了した際にその任務は完了しその地位も喪失いたします。遺言執行者の地位は執行が無事完了する以外にも執行不能、遺言執行者の死亡や辞任、解任、欠格事由などにより喪失することもあります。
遺言が無事に執行完了した場合
遺言の執行完了について民法による特に規定はありません。遺言に書かれている内容がすべて実現(不動産の名義変更など)したことにより無事執行完了となります。
任務完了をした際には、通常の委任手続きと同様、遺言執行者から相続人や受遺者に完了の旨を通知する必要があります。通知をしない場合、相続人に対し、遺言執行を完了した旨の主張ができなくなります。ただし相続人や受遺者が遺言執行者の任務終了の旨を知っている場合は通知は必要ありません。
遺言執行者が報酬を請求する場合は、この任務完了通知書が原則必要となります。
遺言執行が不能となった場合
遺言執行者が就任した後、その遺言の実現ができなくなってしまった場合、執行不能となり遺言執行者としての地位が喪失します。
1.原始的不能
遺言執行者が就任した時点で、自筆証書遺言に押印がないなど要件を満たさない場合や遺贈する物件がすでに滅失もしくは勝手に処分されていた場合など客観的に見て無効になっている場合、原始的不能であると判断されます。
上記の場合は遺言の効力発生時から無効でありますが、そのため遺言執行者が就任する意味がないのですが、実際には就任して執行を着手していかないとわからない部分もあり、執行不能と判断されるまで執行行為を行うこととなります。
執行の途中執行不能であることが明確になった時点で遺言執行者の任務は終了となります。
原始的不能の場合、すでになした遺言執行者の執行行為は原則として無効であると考えます。
2.後発的不能
遺言執行者就任後にその遺言が不能になった場合、後発的不能といいます。例えば認知遺言において成年の被認知者が承諾しない場合、遺贈遺言について受遺者が遺贈を放棄した場合、相続財産の破産などがあります。
執行不能になるまでに行った任務に関しては有効となり、執行不能になった時点で任務が終了いたします。また遺言の執行中に相続人同士で遺言とは異なる内容の遺産分割協議が成立した場合、以降遺言を実現する必要はないので同様に扱われます。
遺言執行者が死亡した場合
遺言執行者が執行中に死亡してしまった場合はどうなるのでしょうか?遺言執行者と相続人同士の法律関係は委任に関する規定が適用されます。そのため遺言執行者が死亡した際はこの地位は遺言執行者の相続人に承継されることはありません。
遺言などで仮に遺言執行者が死亡した場合は、別な人が遺言執行者に指定すると定めている場合があります。この際はその者が執行者となります。
遺言執行者に帰属していた権利義務はすでに執行した範囲については遺言執行者の相続人に承継されます。したがって相続人は遺言執行者が遺言執行を終えた範囲での報酬請求権を行使することができます。