被相続人から相続した相続財産より相続後に果実・収益が発生する場合があります。具体的には農地から採取される果物、野菜、賃貸用不動産から生ずる家賃収入、地代収入、お金を貸したことによる利息収入などです。
これらは一体全体どのような取り扱いになるのでしょうか?果実というと果物を思い浮かべてしまうかもしれませんが、民法上で出てくる文言です。
- 第88条(天然果実及び法定果実)
- 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
- 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。
遺産から生ずる果実・収益は遺産分割の対象?
遺産から生じる果実や収益は遺産分割の対象となるのでしょうか?という根本的な疑問が出てくると思います。これに対しては最高裁判決 平成17年09月08日の事例による結論がございます。
内容を端的にまとめると、相続開始後から遺産分割までの間に発生した賃料収入(果実)は遺産ではなく、共同相続人が相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得して後に遺産分割が成立しても影響を受けるものではない。とされております。
この判例に従えば、相続開始後から遺産分割までの間に発生した果実はそもそも遺産ではなく遺産分割の対象でもないため発生したものに対しては各共同相続人が相続分に応じて分配するものであり、もし争いになれば民事裁判で解決するものとなります。
※例えば相続人が複数いて、相続人の一人が被相続人の家賃収入口座を管理していて全て横取りしてしまった場合、話し合いで解決できなかったとすれば、裁判になります。
しかし現実問題として、果実の元になる財産は遺産分割をし、果実は民事訴訟で解決するというのはなかなかできないでしょう。相続人からすれば元になる財産も果実も遺産分割協議の中で解決できた方が合理的です。
果実に対する実務的な処理
上記の通り判例に杓子定規に行っていては埒が開かないのは明白でしょう。実務上での取り扱いでは、相続発生後から遺産分割協議までの間の果実に関しては遺産分割の対象外としつつも相続人全員が合意をした場合、果実は遺産分割の対象とするという取り扱いがされています。
果実の代表例としては株式などの配当金や不動産の家賃収入があります。これらは実務上相続人全員の同意があった場合、遺産分割で取り扱われます。
なお遺言があった場合は遺言が有効である場合、その記載されていることが優先されます。また遺産分割協議が整った後は、収益物件など果実の元の所有者のものとなります。